【音声合成ツールを悪用した新たな「おれおれ詐欺」】

アジア太平洋NEWS

2022年、日本国内で認知された特殊詐欺件数は17,520件で被害額は361億円以上となった。東京、愛知、大阪などの都市部を中心に増加してしており、ピーク時の2017年を超える勢いにある。そんな中、ここ最近、AIによる音声合成ツールを悪用した新手の「おれおれ詐欺」が発生している。

音声合成ツールを使った新たな「おれおれ詐欺」

子どもや孫の声そっくりな音声で「おれおれ詐欺」をする。ここ近年日本国内や米国の企業が提供している「音声合成」サービスを悪用した詐欺が話題を呼んでいる。本来の使い方は、声優や自分の声などを収録し、次にテキスト文字を入力する。すると本人の声のようなリアルな音声でテキスト文字をしゃべらすことができるのだ。

音声合成サービスの使い方の一つとして、例えばサービス業では、店舗の案内サービスに声優(アニメ等)の声を収録し、「いらっしゃいませ」「有難うございました」などの言葉をテキスト文字として入力し、そのテキスト文字を音声合成ツールを使うことで声優がリアルにしゃべることで集客PRすることができる。

企業IRでは、代表のスピーチを全部収録しなくても、声だけ収録すれば社員がテキスト文字のみで代表スピーチを作成し、音声合成ツールで本人のようにスピーチさせることが可能になる。上記以外でもYouTuberやゲームソフト、メディア・音声コンテンツなど幅広い職種で利用でき、使い方によってはとても便利なツールである。

このツールを悪用することで本物の子どもなりすまし「おれおれ詐欺」に使われている。

電話による「オレオレ詐欺」は5,100件以上発生しており、1,100万米ドル(約15億円)以上の損失を出している、とFTDデータが示している。

引用:FEDERAL TRADE COMMISION

音声を収集する方法に、例えば、InstagramやTikTokなどを利用し且つ声も出しているユーザーは悪用されるかもしれない。

しかしながら、この音声合成ツールの機能だけをみると、一方的に”リアル”な音声でしゃべることはできるが、受電側との双方向のコミュニケーションで何かしらの違和感を感じるように思える。

ただし、切迫した状況をつくり一方的にしゃべり、電話を切るような演出をされるとだまされる確率が高くなりそうだ。

2022年、詐欺・盗難が横行していると言われる世界トップ21

北・中南米

アメリカ:人口約3億3200万人、人種差別、分裂社会。ロマンス詐欺、ビジネスパートナー詐欺が横行のようだ。ロマンス詐欺の被害者約7万人、被害総額約13億ドル(約1784億円)に及ぶ。ロマンス詐欺として使われているプラットフォームにFacebookとInstagramが挙げられ、足のつかない仮想通貨や銀行振り込みが多いようだ。

ブラジル:人口約2億1400万人、政情不安、経済不安定、分裂社会。2020年に「WhatsApp」アプリだけで500万人以上が被害にあったようだ。その他、警察官を装った詐欺。チケット詐欺、いいがかり詐欺、無料送迎詐欺などが頻繁に発生。【五秒でバックが盗難ーその手口とは】

ベネズエラ:人口約2800万人、政情不安、経済不安定、安全対策レベル4(米)。ハイパーインフレ約280倍(100円が268万円)なり経済破綻。貯蓄資産無価値になり、国民の飢えや犯罪が横行。殺人・誘拐多発で日本の約300倍。ロマンス詐欺、おれおれ詐欺、アプリ国債偽造で有名のようだ。

ジャマイカ:人口約300万人、貧困とギャング。殺人、強盗、麻薬、強姦多発。恋愛詐欺(リゾートスタッフ性的関係禁止)、ロトや懸賞詐欺、ロマンス詐欺で有名のようだ。

アジア

インド:人口約14億人、貧困、宗教、領土、今もなおカースト制の残渣が色濃く残る社会。観光客を狙った観光詐欺が多発。タクシーメーター詐欺、宝石詐欺(ジャイプール地方)、ホテル・スイッチ詐欺(もっと安くて良いホテルを紹介)、ツーリストインフォメーション詐欺、請求水増し詐欺、正規職員からの不当な追加サービス料金など。

中国:人口約14億人、貧困、領土、教育、医療、法律、不平等など中国式社会主義の光と影が浮き彫りになっている社会。最も普及している詐欺は偽造通貨紙幣。銀行だけでなくどこの店にも偽造通貨紙幣計数・発見機器が置いてある。銀行の前でどうどうと偽札を渡されたり、店でのおつりに偽札を混ぜたりと巧妙な手口が多い。次に愛人詐欺、愛人と偽って画像をクリックするとウィルスに感染。情報を盗まれ悪用されている。その他、白タク詐欺や様々な偽物が社会に出回っている。

北朝鮮:人口約2,600万人。日本独自の対北朝鮮措置発動中。犯罪情報一切不明。北朝鮮内にスウェーデン大使館があり、米国人は何かしら犯罪に巻き込まれたりしたら、スウェーデン大使館に連絡するよう勧告。北朝鮮は、ドルを得るためなら何でもする国であり、オンライン、電話を使って国家ぐるみの詐欺を指摘されている。

マレーシア:人口約3,300万人。ISIS、アルカイダ、アブ・サヤフ・グループ(ASG)、ジェマイスラミア(JI)などのテロ集団がひしめく。邦人や外国人はデモ参加禁止。ロマンス詐欺、金詐欺、求人詐欺、暗号通貨詐欺、マネーロンダリング(資金洗浄)も盛んなようだ。

インドネシア:人口約2億7,000万人。テロ組織が活発、警察・治安部隊が制圧も混乱。クレジットカードのスキミングが横行。クレジットカードの使用を控えるよう注意。

フィリピン:人口約1億1,000万人。最近では”ルフィ”で注目される。信用詐欺、ロマンス詐欺、おれおれ詐欺、宝くじ詐欺、ATM詐欺が横行。ロマンス詐欺では恵まれないフィリピン女性と恵まれた英語圏男性が設定されているようだ。

中東

パキスタン:人口約2億2,000万人。地域情勢不穏。テロや軍事詐欺が多発。24時間警備員を雇うことを推奨。パキスタン軍人なりすまし、銀行員なりすまし、BISP・PTAなりすましが有名のようだ。

イラン:人口約8,400万人。治安不安定。麻薬組織、PJAK、ISILとの衝突・交戦。ISILは「すべての日本人が標的」と過激な発言をしている。治安要員は観光客の私物の検査やデバイス機器の没収ができる。警察なりすまし、偽造・海賊品横行、スキミングが有名のようだ。

イスラエル:人口約950万人。中東戦争の中心国、ユダヤ人とアラブ人の民族対立、ユダヤ教徒とイスラム教の宗教対立、高い緊張が維持されており大小問わず衝突が続いている。北米やヨーロッパをターゲットにした投資詐欺が有名のようだ。

トルコ:人口約8,500万人。民族対立、反イスラエル、反ユダヤ主義が強く、東部及び南東エリアではPKK、YPG、ISIL、DHKP、HDKなどの組織が活発に活動。クレジットカードの偽造やデータ盗難が非常に多い。トルコの有名な詐欺を紹介

東欧

ルーマニア:人口約2,000万人。東欧一の貧困国。ロマ族(ジプシー)が最も存在している。スリやタクシー被害などの軽犯罪が多く、警察官を装って犯行に及ぶこともあるようだ。クレジットカード詐欺とインターネット詐欺が横行しているため、むやみにクレジットカードやネットカフェの利用を勧めていない。

ロシア:人口約1億5,000万人。ウクライナへ一方的な攻撃を仕掛け、プーチン大統領が戦犯容疑者になる(戦犯国際刑事裁判所)。プライバシーが守られておらず、電話や電子通信はもちろん、合法的にロシアのシステム(SORM)がすべてのデータの監視と記録することができる。世界的サイバー犯罪が有名(米国政府)。マルウェア、スパム、フィッシング、ネット詐欺、渡航費詐欺、病気詐欺、ロマンス詐欺、クレジットカード詐欺などが発生しているようだ。

アフリカ

ナイジェリア:人口約2億万人。犯罪、テロ、誘拐、海賊などが発生。詐欺も横行。特にナイジェリアの手紙(Nigerian Letter)は有名。被害額は100万米ドル(約1億3千万円)に及ぶといわれている。手口は、先進国など富裕国をターゲットにナイジェリアから手紙やファックスを用いて騙すことから「ナイジェリアの手紙」と呼ばれ、今や電子メールやSNSが主流になってきても呼び方は変わらず。詐欺師は何かしら困難な状況の中、大金の送信ができないため、口座を貸してほしいなどターゲットにすり寄り、口座番号などユニーク情報をかすめ取り不正にアクセスしたり、送金に必要な「手数料」を口八丁手八丁でだまし取るようだ。

南アフリカ:人口約6,000万人。過激的なストやデモが頻繁に発生。昼間でも暴行、強姦、殺人が発生しており、「スマッシュ・アンド・グラブ(smash and grab)」が有名。スマッシュは破壊、グラブが強奪の意味。信号機で止まっている車に、窓を破壊し、金品を強奪する。また、狙った車を追跡し自宅を特定し強盗。ヨハネスブルグ大学サイバーセキュリティセンターの調査によると、2015年に銀行関連の詐欺の被害を最も受けたのは南アフリカ人だという。スキマー、ロマンス詐欺が横行、ロマンス詐欺グループが690万ドルを送金させ、逮捕されている。

ガーナ:人口約3100万人、テロ、武装強盗、部族対立、襲撃が頻繁に発生。「ナイジェリアの手紙(ガーナバージョン)」や「スマッシュ・アンド・グラブ(smash and grab)」も多発。同様に、スキマーやロマンス詐欺も横行。

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