【WTO事務局長代行選出、米中対立でトップ不在の異常事態!?2か月以上空席か】

ヨーロッパ大陸NEWS

世界貿易機関(WTO)が7月31日、来月の8月末に任期満了前に辞任するブラジル出身のロベルト・アゼベド(Roberto Azevedo)事務局長が辞任後の次期事務局長のつなぎとして代行を選出する協議を行ったが、米中対立の影響なのか合意に至らず11月上旬の次期事務局長就任の間、トップが空席となる異常事態が発生した。

◆WTOトップ不在のよる機能マヒは不可避?

1期目(4年)を終え、2期目終了の来年8月を待たず今月末で辞任するアゼベド事務局長と今年11月に選出される予定次期事務局長の間に2か月の空白期間が生じる。その間、代理を選出する必要があり、関連規定によりWTO事務局長代理は副局長である米国、ドイツ、ナイジェリア、中国出身の4人から協議のもと選出される。

4副局長には、米国のウォルフ氏、ドイツのブラウナー氏、中国出身の易小准(Yi Xiaozhun)氏、ナイジェリアのアガ(Yonov Frederick Agah)氏だ。

◆事務局長代理選出に有力視されていたドイツ出身の副局長に待った?をかけた米

一部のメディアによると4カ国中、ドイツ出身のカール・ブラウナー(Karl Brauner)副局長が有力視されていたようだ。米中対立が激化している中、中立性を保つためにもドイツかナイジェリアかの消去法で2択になることは想像に難くない。

事務局長代理選出に関して米国は、自国の米国出身のアラン・ウォルフ(Alan Wm. Wolff)副局長を押していたようだが、中国を筆頭に反対された模様。中国地元メディアによると、米国が”またやった”とネガティブ的に報じているところもある。その内容は、自国出身者をごり押ししたことが合意に至らなかった原因だと伝えており、ほぼ内定していたドイツ出身のブラウナー氏を中国も有力視していたようだ。さらに、米国は結果に対して”意に介さない”ようだとも報じている。

次期事務局長は今年11月7日までに選出されるが、2か月以上トップ空白期間が現時点で出来てしまったことに対し、現事務局長のアゼベド氏は「失望した」と語っている。辞任理由は公式上では「個人的な決断」としているが、力をつけてきた中国をトリガーとした貿易問題等が後を絶たず、その影響を受けた可能性もある。事務局長代理選出も次期事務局長選出も、ロビー活動からメディア合戦まで激化・紛糾が続くだろうと思われる。

参考資料