【個別戦から集団戦へシフト、日米欧G6+6「対中政策に関する列国議会連盟」発足】

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対中政策に関する列国議会連盟(Inter-Parliamentary Alliance on China、以下「IPAC」)が5日、ローンチされた。国や党派的利益を越え、各国議員が目的のため一致協力する。現時点での共同議長は日本を始め米、英、加、豪、独、伊、ノルウェー、スウェーデン、リトアニア、オランダ、チェコの12カ国と欧州議会(EP)だ。各国主張の異なる党から2名参加しており、G7の内、仏を除く6カ国が加入。日本からは元防衛大臣の中谷元議員(自由民主党)と山尾志桜里議員(無党派)が列に名を連ねている。

◆IPACが掲げる5つの重要領域とは

IPACの大きな強みの一つに、志を同じくする議員間でより深い協力関係を発展させることによる、一致した方針を打ち出すことで、強力な外交政策を持って臨むことできる。その外交政策は中国(中国共産党)に対して

  1. 国際的なルールに基づく秩序の保護(Safeguarding international rules based order)
  2. 人権の擁護(Upholding human rights) 
  3. 貿易の公平性の促進(Promoting trade fairness)
  4. 安全保障の強化(Strengthening security)
  5. 各国の主権保護(Protecting national integrity)

である。IPAC の主な活動は、関連する中国の動向を監視し、立法者が適切且つ協調的な対応が構築できるよう支援し、中国に関する問題について、積極的且つ戦略的なアプローチを構築できるよう支援することである。

◆中国外交部の反応は、強気の姿勢?

外交部耿爽(Geng Shuang)報道官は5日、定例記者会見で「対中政策に関する列国議会連盟」に関して言及している。その内容(文字)を見てみると、一見おや?と思うが、「強者が新たなルールを作る」という前提のもと、考えてみると全文の意味が腑に落ちる。

換言すると、強者アメリカが作った世界基準を、今強者である中国が新たな世界基準を作っている最中であり、弱者(マイノリティ)は中国が強者であることを認め、中国(強者)がつくる国際関係を尊重し、米ソ冷戦時のような考えを捨て、各種問題をこじつけて中国国内の政治や外交に介入し主権を侵害すること、私利私欲のための政治的操作をやめること。彼らは中国のつくる国際社会のため、建設的な役割を演じることを期待するものとする。

一方、中国共産党系『环球网』は、反中議員を名指しで批判している。名指しされたのはアンドリュー・ハスティ(Andrew Hastie)豪議員、イアン・ダンカン・スミス(Iain Duncan Smith)英議員、マルコ・ルビオ(Marco Rubio)米議員だ。

中国外交部の定例記者会見の内容だけ見ると、IPACと相反しており衝突する可能性が高い。参加メンバーの中で、地政学的に日本が難し局面に直面することは想像に難くない。今後、ロシアの動向やアジア圏(インド、フィリピン、ベトナム等)の議員が参加するのか注視したい。

参考文献