英国から中国に返還されてから明日で23年目。6月30日早くも《香港版国家安全維持法》が可決され、7月1日施行予定。憲法を超越している存在の中共党政権が国家分裂、政権(中共党)転覆と認めた者に対して、最高終身刑も言い渡されるようだ。現在、香港で平和的デモを行っているリーダー的人物の摘発がされる可能性が高い。他方、IPAC(対中政策に関する列国議会連盟)等からの批判が高まることは必須だ。
◆米、香港への軍民両用技術に関する輸出制限
《香港版国家安全維持法》に関して、ポンペオ米国務長官は声明で規制品目(軍民両用技術に関する輸出制限)を香港への輸出と中国大陸への輸出を区別することができなくなったとし、制限すると発表した。今回の措置は軍事転用な軍民両用技術が中国共産党の「人民解放軍」の手に渡らないよう輸出制限したものだ。
◆米声明に香港行政長官は「どんな制裁も恐れない」
地元メディアによれば、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は30日、ポンペオ米国務長官の声明に対し、いかなる制裁も恐れず、香港に何かあれば中国が対策を講じることを信じていると述べている。さらに、必要に応じて中国を全面的に協力するようだ。香港はあくまで中国の一部であり、他国からの干渉をけん制している。
続けて、ポンペオ米国務長官が声明で述べている「香港への軍民両用技術に関する輸出制限」に関して、当行政長官は「香港には厳しい貿易管理があり、今も今後も、他(人民解放軍)へ輸出することはない」と真っ向から反論している。
◆IPACの現時点の香港に関する声明発表は
現時点では、香港に関する声明はでてない。ただし、IPAC(対中政策に関する列国議会連盟)に新たな共同議長が3カ国加わった。フランス、ニュージーランド、スイスだ。これでG7すべてIPACに加入したことになった。未だ、中国と係争中のインドやフィリピン、ベトナム等アジア国からの参加に期待したい。
日本も参加しており、中国(共産党)とIPACの懸け橋となるべき存在としてプレゼンスを発揮してほしいところだが、中国特色の社会主義概念や教育、考え方、価値観等、日本と大きく異なり、共通点やキーワードが筆者にはほとんど見当たらないことや、IPAC(白人)ならではの根底にある価値観を認識・理解、説得するにはハードルが高い。もし、どちらにも造詣が深い人材が日本政府内外に存在し、且つ権限を持たされているのならば日本は世界に大きなプレゼンスをアピールできるだろう。
他方、ここで忘れていけないのは、中国共産党は”悪”ではないことだ。中国国内で共産党員になれるのは、頭脳明晰、品行方正、容姿端麗等ほんのわずかな人財のみ資格を与えられる。日本を含め、米、伊等のように芸人やアイドル、俳優などが地方議員や国会議員になるのとは大きく異なる。中国共産党員はそれだけの力量やプライド、自信があること、且つ完璧主義者であることが根底に存在する。そのため、傷つけられること(反対されること)に慣れていないがための防衛本能が他国とは異なった表現方法で表されているだけである。この点を加味しながらネゴシエーションしていく必要がある。
筆者が中国留学中に、優秀な中国人講師が海外赴任したときの一言が今でも忘れられない。その講師は共産党員であり、それに誇りをもち、他国大学にて共産党員と学生に伝えたところ「思っていたとは異なる反応」が返ってきた、と大きなギャップを感じたそうだ。