イランの議会は5月4日、「改正金融・銀行法」が可決され、護憲評議会(上院相当)が承認すればイラン公式通貨リアル(Rial)から新通貨トマン(Toman)に移行する。新たな通貨1トマンは10,000リアルに相当する。今後2年内にリアルからトマンに切り替えていくという。この期間中、イラン政府は現リアル紙幣と硬貨を回収し、新トマンに変えていくとイラン国営通信(IRNA)が報じている。
◆四桁の0000を除けばインフレ率が下がる?
「10,000(リアル)を1(トマン)に0をカットしてもインフレ率とは何の関係もない」と消極的な見方をする専門家もいる一方で、会計処理が楽になる、決算関係書類の改革に繋がる大きな一歩だと歓迎する声もある。
他方、現在イランの公式通貨単位はリアルが用いられているが、日常生活では非公式通貨単位のトマンが使われているようだ。
◆公式為替レートは1ドル≒42,000リア、非公式レートは156,000リアル?
5月6日時点での公式為替レートは42,111リアルだ。ここ最近イランでは物価は上昇しているが、通貨価値は下がっている。IMF(国際通貨基金)のデータによると、消費者物価上昇率が41.06%と1996年以降最高水準を記録している。なお、日本は0.48%だ。
イラン市中銀行(都銀に相当)はリアルから外貨への両替は停止をしており、自国通貨に不安を感じるのか、非公式レートでは1ドル156,000リアルで取引されるようだ。
参考図※1:10年間のイランリアル為替レート推移
イラン中央銀行のアバダンナスル・ハマティ(Abdolnaser Hemmati)総裁はこれにより国内のインフレが上昇することはないと強調しており、自国通貨の名声を守ることが議題の中心であると通貨単位の変更に前向きの発言をしている。