【2020年半期で既に最悪の年?インドを襲う「パンデミック」、「スーパーサイクロン」に「蝗害」の3災害】

アジア太平洋NEWS

武漢ウイルスのパンデミックにより累計感染者数が26日、540万人※WHOを超えた。日本を含む比較的コントロールが出来てきている国は安定化に向かっているが、中南米では武漢ウイルス感染者数が急増している。アジア→ヨーロッパ→北米→中南米とパンデミックの収束が見えず、未だ多くの国がコロナ禍で混乱している中、インドでは20年以来となる「スーパーサイクロン」の発生、渡りバッタが大量発生による蝗害こうがいに直面している。

◆「一つ目の災害」武漢ウイルス感染状況は

5月25日、1日で新たに6,977人※WHOの武漢ウイルス感染者が出ている。これまでの統計の中で最多を記録しており、26日時点で累計14万5,000人※WHOを超えている。新たな感染者数は上げ下げを繰り返しながら、緩やかながらも右肩上がりで上昇している。

ランク     州累計感染者数
1マハーラーシュトラ57,458
2タミル・ナードゥ17,728
3グジャラート14,829
4デリー14,465
5ラージャスターン7,536
6マディヤ・プラデーシュ7,024
7ウッタル・プラデーシュ6,724
8西ベンガル4,009
9アーンドラ・プラデーシュ2,983

◆「二つ目の災害」スーパーサイクロンの爪痕は、被害規模は1737年以来?

最大瞬間風速約53メートルの最大級のスーパーサイクロン「アンファン(Amphan)」は、5月20日にベンガル湾で発生した。21年ぶりの超大型サイクロンでその大きさは、去年日本を襲った台風15号(45m/s)に匹敵するかそれ以上だ。直撃をした房総半島の記憶はまだ新しい。

アンファンは西ベンガルで少なくとも86人の命を奪い、甚大な被害を被った。また、日常生活に不可欠なライフラインも止まり軍が要請により復旧活動を続けている。だがしかし、2日経つも洪水や停電に対する政府の対応の遅さに市民から抗議が殺到し関係当局は対応に追われている。

西ベンガル州のマムター・バナルジー(Mamata Banerjee)州首相は23日、「ライフライン復旧に昼夜問わず全力を尽くします。できるだけ早く復旧します」と記者会見で述べ、今しばらくの辛抱を市民に訴えた。1.5億人もの人口を有する西ベンガルで、70km以上の河川堤防の決壊・氾濫により、路面冠水及び土砂堆積、流木堆積、がれき等によりアクセスさえできないとジャベド・カーン(Javed Khan)防災大臣は述べている。復旧にはかなりの時間がかかりそうだ。

モディ印首相は、新型コロナウイルスとサイクロン、矛盾する2つの事象にもかかわらず、西ベンガルの健闘を讃えている。西ベンガルの武漢ウイルス累計感染者数はインド内で8番目に多い。避難所には多くの人が集まり「三密」だったため集団感染が懸念される。

◆「三つ目の災害」食物を食い荒らす蝗害、この30年で最悪の被害か?

渡りバッタが約50,000ヘクタール(東京23区約62,000㌶)の耕作地を食い荒らし、1993年以来最悪の食糧不足に直面しているという。国際連合食料農業機関(FAO)によると、4,000万匹の渡りバッタの大群(1㎢)は35,000人/1日の食物を食い尽くすことができるようだ。

発生・被害場所はラージャスターン、マディヤ・プラデーシュ、ウッタル・プラデーシュだ。惜しくも武漢ウイルス感染者数の比較的多いエリアだ。蝗害こうがいにより、食糧不足に陥ると国内で食糧価格が高騰する。食糧価格を抑え国内消費のみに切り替え輸出を制限すれば、低価格で供給していたサプライヤーからの供給が途絶え世界の食糧価格が上昇する。上昇すると輸出制限した国が他国より非難される。よって、食糧不足でも国内ばかりケアするわけにはいかないことが問題を複雑にしている。

加えて、パンデミックによりサプライチェーンが打撃を受けている点も食糧不足を加速させている。渡りバッタは南アジアから東アフリカへ移動するため一国だけでの対応は難しく、FAOは脅威として警告している。

参考文献

※1ヘクタール(ha)=0.01平方キロメートル(㎢)