旧統一教会が大きな社会問題になってから、新たに韓国発祥の新宗教団体『キリスト教福音宣教会』通名「摂理」も静かに社会問題に浮上してきた。
「Providence(プロビデンス)」は日本語訳で「神業」や「神の導き」「摂理」の意味があり、海外では「Providence」、もしくは「Jesus Morning Star(JMS)」として活動している。奇しくも創始者の名前「Jung Myung Seok」のイニシャルJMSと一致している。
海外「プロビデンス」の活動は、教祖と交われば罪は浄化する?
各国メディアを調査してみると、「プロビデンス」は旧統一教会と比べ小規模であり、南半球をメインに活動しているようだ。信者は10万人以上、世界中に1万以上のフォロワーがいるようだ。
NZメディアによると、「プロビデンス」は旧統一教会の分派であり、創始者の鄭明析氏(Jung Myung Seok)は旧統一教会の元信者Moon’s “である、と伝えカルト(性交)教団として位置づけしている。
「プロビデンス」の信仰の一つに、「メシア(創始者)との”sexual intercourse(性交)”が原罪を浄化する」の教えだという。この”教え”に韓国では次々と告発され、強姦罪で逮捕・起訴・実刑を受けている。
日本では”健康診断”を名目に女性に触れ性的暴力を加えた、台湾(台灣攝理教)では元信者が「帳消しにする」ためメシアと性交するよう命じられた、と警察沙汰になっていると報じている。
手口は旧統一教会と似ており、学校や教会が主な活動拠点だと伝えている。実際に勧誘・洗脳されたVictoria University of Wellington (NZビクトリア大学)M学生(男性)とプロビデンスF信者(非ネイティブ女性)との体験・引き込こまれた経緯・振り返りを伝えている。
0.雰囲気作り:F信者は、M学生から誘われるような言動・雰囲気を作る
1.つり:M学生からF信者に声替えし、引っかかる
2.誘い:F信者からM学生を夕食に招待、バイブルスタディグループに誘う(宗教団体伏せる、日本では違法行為)
3.洗脳手前:信者グループと寝食をともにする
4.洗脳状態:新たな信者勧誘・獲得のため他の地区へ移動要請
5.洗脳:ミッシングメモリー
6.洗脳解除:親戚の家で目が覚め、燃え尽き症候群のようになる
7.宗教不信:勧誘前は礼拝していたが、すべての宗教への信頼を失った
追記:洗脳時の場所に行けば、毎日信者に囲まれて洗脳強化されていたかもしれないと語る。今でも怖くてどの教会へも行っていないようだ。
勧誘する手口には、バイブルスタディーの参加、組織的なスポーツへの参加、”モデル”として勧誘などから信者候補を誘い込む手段だが多くとられると伝えている。特に、敬虔的なクリスチャンで背が高く魅力的な女性がターゲットになりやすいようである。
数百以上のカルトが存在する韓国、なぜ”カルト”集団が多いのか
2003年から韓国でカルト集団を研究している専門家ピーター・デイリー氏によれば、次の三要因に起因すると述べている。
- 日本統治(1910~1945年)
- 朝鮮戦争(1950~1953年)
- 権威主義(1970年台~1980年台の軍事独裁政権)
特に2,3の「不安定さ」と「困難」から生まれる苦しみから救われたい”気持ち”に、雨後の筍のように新しい宗教団体が続々と生まれたという。一方で、権威主義思想や”カルトの教え”などで韓国人の「白か黒」の考え方が定着したのではないのかと思われる。
加えて韓国社会が、個人が個人主義的でなく韓国特有の”共同体的”で”排他的”であることにも言及している。
他方、経済的に不安定が続く韓国での「宗教的勧誘」は”ビジネス”でもあり、10%前後(教団やステータスにより異なる)の報酬が手に入るようだ。いわゆる「マルチ商法(ネットワークビジネス)」であり、ここ日本では法的に違法ではない。宗教においては、宗教団体名、教義などを明かす必要があり、伏せると違法に当たる。