元MI6(英情報機関)出身のクリストファー・スティール(Christopher Steele)氏と元外交官のアーサー・スネル(Arthur Snell)氏が執筆したレポート『China’s Elite Capture』によると、中国がイギリス有力者に中国通信機器大手Huawei(华为技术有限公司 )を後押しするよう操作しようとしたことに非難した。がしかし、本当の狙いは別のところにある。
◆イギリス有力者は英国を代表するような重鎮が名を連ねる?
報告書には複数の名が記載されているようで、自由民主党のクレメント・ジョーンズ卿(Lord Clement Jones)。実業家で慈善家ケネス・オリザ卿(Sir Kenneth Olisa)。英通信大手ブリティッシュ・テレコム(BT)の前代表取締役会長マイケル・レイク卿(Sir Michael Rake)。元英政府最高情報責任者ジョン・サフォーク(John Suffolk)氏、コモンズ連絡委員会の議長を務めた元保守党議員サラ・ウォラストン(Sarah Wollaston)医師など英国を代表するような重鎮が名を連ねているようだ。
一方で、英Huaweiの顧問や執行役員などの重職に就いていた人物も上記に含まれているため全面的且つ一方的に非難することは難しいことかもしれない。上記5人中4人(ジョン・サフォーク氏、クレメント・ジョーンズ卿、ケネス・オリザ卿、マイケル・レイク卿)は英Huaweiの関係者だ。中国企業への貢献と国への貢献は人それぞれ異なるものかもしれない。
◆中国駐英大使は全否定し、もし”プラグを引っこ抜けば”
刘晓明(liu xiaoming)駐英大使は「英国への内政干渉の非難を全面的に拒否する」と述べ、この件に関し全否定しながらも、もしHuaweiという”プラグを引っこ抜けば”影響が出ると警告している。同様に、Huaweiもこれら根拠のない主張に断固として異議を唱えると地元メディアは伝えている。
他方で、Huaweiをこれから英国から締め出すと通信回線が「機能停止」するとBTのフィリップ・ジャンセン(Philip Jansen)CEOは持論を展開しており、少なくとも撤去には5年はかかるという。
◆中国が英国で狙っているものは、自尊心の回復?
- 通信や原子力などインフラで中国のプレゼンスの確立
- 英国を起点(5G)としたEU市場への足掛かり
- ファイブアイズ(米、英、豪、加、新)への弱体化
- 英が中国を支持するよう操作し、反中国への楔を打ちこむ
以上、中国がねらい目としての英国に目を付けたのはさすがと言わざるを得ない。がしかし、一番の狙いは中国はアヘン戦争で英国に根を持っていることだ。自尊心を回復するのにも英国を制御下に置きたいのだろう。
参考資料
- 英国自由民主党公式サイト
- Huawei: BT chief warns of ‘outages’ if UK rips Chinese telecoms giant from 5G network too quickly
- Huawei targeted influential Britons to back its role in UK’s 5G infrastructure, controversial dossier claims
- Ex MI6 spy’s dossier accuses China and Huawei of orchestrating ‘covert campaign to target MPs to become ‘useful idiots