チェコ政治ナンバー2のミロシュ・ビストルチル(miloš vystrčil)上院議長は1日、台湾立法院(国会)で演説し、最後の締めの言葉に台湾国語(中国語)で”私は台湾市民です”と述べると30秒間のスタンディングオベーションが起こり、ビストルチル上院議長に最大限の賛美を送った。この言葉は1963年、当時の米大統領ケネディ氏が西ベルリンで行った「ベルリン演説」で放った言葉”私はベルリン市民です“を彷彿させるものがある。ベルリン市民(ドイツ人)同様に台湾人を奮い立たたせるには、これ以上の言葉は見つからない。他方、中国共産党が主張している「一つの中国」に反しており、これまでにない強い言葉で非難・反発している。
◆真の民主主義を達成するには苦痛を伴い、勇気なくしては成し遂げられない
ビストルチル上院議長は立法院で、台湾国旗とチェコ国旗であしらったマスクをつけて演説をした。そのテーマは「民主主義は団結し、共通の価値を守ること」で、真の民主主義は苦痛を伴い、勇気なくして成し遂げられないと言う。
ビストルチル上院議長の訪台の理由に、ヴァーツラフ・ハヴェル(Vaclav Havel)元大統領が打ち出した「価値観に基づく」外交政策を強調したものだと言う。ハヴェル氏はチェコがソ連の支配下に置かれていた当時、民主化運動を続けていた指導者の一人であり、大統領に就任している。
他方、ビストルチル上院議長は中国にも配慮を見せており、「中国の政策や原則に決して違反しないと確信している」と話しており、「台湾との相互に有益で平等な関係を望んでいるのと同じように、私たちは決して中国との有益で平等な関係に反対しているわけではない」と付け加えている。
◆中国人民14億人の敵になったチェコ
中国外交部スポークスマンの赵立坚(Zhao Lijian)は、ビストルチル上院議長と89人の代表団の短絡的な言動と政治的投機に“重い代償”を払わせる、と脅しともとられるメッセージを発した。加えて、ビストルチル上院議長の演説内容に関しても「一つの中国」に反するとし非難している。「一つの中国」は中国共産党の政策立場及び主張であり、これに反し挑戦すれば14億人の中国人民の敵になる」とも述べている。
なお、ドイツのハイコ・マース(Heiko Josef Maas)外相はチェコを擁護している。中国がどのようにチェコに対して”恫喝”するのか注視したい。