中国ファストファッション『SHEIN』が世界初となる「常設型ショールーミング」が2022年11月13日にオープン。これまで「ポップアップストア(期間限定店)」をニューヨーク、アリゾナ、カナダ、イギリス、バルセロナ、メキシコシティ、シドニーに期間限定店をオープンしてきた。期間限定店では広告宣伝、PR、コミュニケーション等のブランディングを展開してきた『SHEIN』だが、ここ日本で期間限定店でなく、常設型ショールーミング店としてオープンする。

常設型ショールーミングのオープンの狙いは?

期間限定店でブランディングを展開してきた『SHEIN』だが、ここ東京で常設型店舗のオープンを間近に控える。常設型店舗はリアル店舗販売でなく、陳列されているアイテムに付属したタグを「SHEIN APP」でQRコードをスキャンし購入するシステムのようだ。よって、直接購入でなく注文のみである。

SHEIN』広報によると、2フロア(2160㎡)で3つのフィッティングルーム、Instagramフォトブースが設置されているようだ。また、ファッションショーやデザイナーイベントも開催される予定。

Instagramフォトブースでは「フォロ割」を提供し、インフルエンサーに情報を発信してもらうことで日本で中国ファストファッション『SHEIN』のブランディング強化と盤石を狙ったものであると考えられる。

他方、『SHEIN』本部は中国江蘇省南京市にあるが、南京出身ではない30代の創始者(中国山東省出身)は南京で感じた”特別な日”を抱いて、あえて日本・東京で常設型をオープンさせるのかもしれない。

中国ファストファッション『SHEIN』はすでに「H&M」と「Zara」、「ユニクロ」を超えている?

中国ファストファッション『SHEIN(中国名「希音(Xi Yin)」』の創設者は中国山東省出身の许仰天(Xu YangTian)。2011年に創業し、2015年に『SHEINside』から『SHEIN』に改名、今では『SHEIN』の企業価値は1,000億ドルと言われている。円安も重なり日本円で約14.8兆円になる。「H&M」と「Zara」の企業価値合計を超え、「ユニクロ」をも超えた。中国らしい急激すぎる成長速度だ。

創始者は学生時代の専門はIT系で、アパレルには関心がなかったようだ。『SHEIN』以外に、同様のファストファッション「ROMWE」も立ち上げている。値段もリーズナブルで1米ドルから商品は販売されている。カテゴリーには「GOTH」「Academia」「Fairycore」「Kawaii」もあり、日本の”可愛い”が世界の”Kawaii”へ昇華していることが見受けられる。Kawaiiは確かに筆者が海外留学中(20年以上前)によく聞いていたワードだ。

急成長の『SHEIN』

许仰天(Xu YangTian)自身、Facebookで急成長すぎると嘆いぐらい成長している。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を続けており、中国ブランドで成長最速ランキング5位内にラインクインしている。

そんな急成長をしている『SHEIN』に対し、中国の一部メディアは『SHEIN』を以下のように評価している。

  • 中流階級以上は絶対買わない
  • シングルファザーやマザー向け
  • 学生やZ世代向け
  • 強力なサプライチェーンマネジメント(デザインから発送まで7日)

なぜ、中国では『SHEIN』があまり知られていないのか。理由はシンプルで中国社会では”安い”と売れないからだ。GDPの数字上で日本を超えたといっても、まだまだ貧困社会であり衣食住さえ充たされていない中、多くの深刻な問題をたくさん抱えている(本稿では割愛)。

貧困社会だけをフォーカスすると”安い”が正しいように思え、一見需要があるように見えるが実際は異なる場合がある。一例として

25年以上前、中国・上海では大卒の初任給が一万円前後とき、中国の経済社会レベルに合わせ”安い”携帯・スマホを売り込んだ日本のメーカーが中国社会でソッポを向かれた。経済から見ると問題なさそうだが、そこには中国社会の独自文化が背景に存在する。「安物」≒「貧乏」、人として見られない(サービスされない)、面子がないことを知っている中国人は、月収入の数倍以上の欧米メーカの携帯をこぞって購入していた。同様に『SHEIN』を中国国内で販売しても敢えて購入しようとしないだろう。

日本の「ユニクロ」や「H&M」「Zara」は国外だから中国老百姓は購入するが、国内メーカの「希音(Xi Yin)」となると話が変わるので一部の中国メディアの言うことも一理あると言える。

この日本の失敗に、同じ轍を踏むまいと日本の車業界は日本以上の高級車や先端技術を盛り込んだ車を中国で展開している。

却って、中国メーカーの日本市場参入にフォーカスをあててみると、筆者視点だが、あまりパッとしないのが印象だ。「HUAWEI」をはじめ「HAIER」「HISENSE」と大手家電量販店で目にすることもあるが、国内メーカーの牙城を崩すまでには至っていないように感じる。原爆広告で紛糾した「XIAOMI」も同様である。

初の中国ファストファッション『SHEIN』が日本でどのようにブランディングを展開し、日本人に受け入れられるか期待したい。

error: