【東京都、外国人起業家に1,500万円融資へ。無担保・保証人不要】

都民ファーストを掲げる小池都知事が「外国人が東京で起業しやすい環境の整備を図るため、外国人起業家に向けて、金融機関による融資と、融資前後の経営支援を組み合わせた取組を、経営支援等を実施する事業者及び融資を行う金融機関を通じて実施」を公表した。このアナウンスに一部では物議を醸しだしているようだ。

未来の東京戦略は政策の「稼ぐ東京の実現」「成長し続ける都市・東京へ」の一環なのか

「都民ファースト」というワードと”外国人起業家への手厚い待遇”に疑問を感じたのは筆者だけだろうか。日本人が起業する際に、一番ネックとなるのが資金だ。どんなジャンルの事業にしてもある程度の開業金(準備金)からランニングコストを考えた運転資金をある程度準備・確保してからようやく起業の算段が可能になろう。特に先行投資がある程度必要な事業なら、調達方法は身内やスポンサー、クラウドファンディング、もしくは金融機関から融資を受ける方法が一般的ではなかろうか。その融資も何かしらの”担保”や保証人があってようやく審査はしてくれる。

日本人・外国人問わず起業自体に難易度は高くないと思うが、存続していけるかどうか、存続できなくなった時、担保や保証人のない融資に回収できるのかどうか?いろいろと疑問が頭によぎる。

支援対象者の主な条件とは

主な条件の中で注目すべきは「在留資格」と「都内に本店(事務所)を置く」点であろう。在留資格にはいろいろな「活動資格」があり、経営・管理ビザ日本人配偶者ビザ永住権を持つ外国人、高度専門職1号・2号を指しているものと思われる。これは「都内に本店(事務所)を置く」と重なるが、この資格を取得するには事業所の確保が必要になる。レンタルオフィスやバーチャルオフィスでなく、且つ年単位など一定の長期間の契約期間が必要になる。これは都にとって空室の有効化になり、法人3税(法人税、法人住民税、法人事業税)にも繋がり、都の税収アップも望める。

融資条件とは

保証人や担保が要らない点は、グローバルな視点から見れば至極当然だろう。国内にいる外国人には不評であるのは間違いないと思う。しかしながら、日本人からみれば保証人や担保無しはかなりの好待遇だと思われる。金融機関で融資を受ける場合、保証人や担保無しでも融資をしてくれる金融機関も存在するが、回収不可も考えて大半の金融機関は融資利率が2桁以上と高い。2.7%以内は相当の”破格”であると考える。

中国から見れば破格の好条件

この条件を破格の好待遇と伝えている中国のサイトを多く見受ける。注意喚起しているサイトでは「都認可」と「補助金でなく融資」の点である。更に日本の起業環境も恵まれていると日本に一定の好感を示しているサイトも見かける。その好感とは

  • 日本人の民度が世界的にトップレベルである点
  • 商法が健全に実施されており、設備レベルも整っている点
  • 日本に事業所を構えることで、ブランド力アップと日本市場へ参加できる点
  • 長期滞在ビザの取得と永住権取得への近道
  • 高度専門職で80ポイント以上になれば一年で永住権申請可能になる点

中国と単純に比較はできないが、筆者が中国に滞在している時、日本人や中国人から耳にした「急に電気を止められる」「暴力団のような人間が暴れる」「袖の下を求められる」「法律の上に位置する共産党とのしがらみ」がない点においては、東京都の「外国人起業家の資金調達支援事業」は魅力的に映るであろう。

他方、中国のサイトはよく調べて書かれている。例えば、不動産投資も経営・管理ビザの取得ができると記載してある。ただし、居住区の不動産でなくホテルや旅館、民宿だと取得できるようである。

加え、家族全員渡日可能で、日本の医療福祉教育を享受できる点にも注目している。

筆者が懸念する点は、都内で見かける最近の外国人は数十年前の外国人と比べかなり変わったことだ。この変化に気づく日本人は少ないのかもしれない。邓小平(Deng XiaoPing)氏の言葉を借りると“打开窗户,新鲜的空气会进来,苍蝇也会飞进来”。訳すと窓を開けると新鮮な空気も入ってくるが、”ハエ”も入ってくる。かみ砕くと「門戸を開けると都内にベネフィットとなる斬新なアイデアを持った起業家も入室するが、ベネフィットよりもリスクが高い起業家も入室する」。負の面が強くでないよう祈るばかりである。